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職人向けにDXを成功させるための鍵、パンフォーユー代表に聞く

2022/11/17 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

群馬発「町のパン職人さん向けDX」が成功できた訳 3つの極意 – 日経クロストレンド連載

ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏が、トップ経営者や専門家と具体的かつグローバルな議論を展開する。今回は冷凍パンのサブスクリプション(定期課金)サービス「パンスク」を展開するパンフォーユー(群馬県桐生市)代表取締役の矢野健太氏と対談の後編。独自開発のシステムを活用したパン業界のDXについて議論した。(対談は2022年10月5日)

サブスクサービス「パンスク」では群馬県の地元のパン屋さんが作るパンを届けている。パンフォーユーは、職人や店員が使うシステムを開発した

▼前編はこちら
「パン屋は選べない」偶然が生む冷凍パンサブスクのストーリー

現場に張り付き作業負担を徹底排除

石角友愛氏(以下、石角) パンフォーユーでは独自開発システム「パンフォーユーモット」を活用して、提携するパン屋さんの業務効率化を支援されているそうですね。このシステムがパンフォーユーのビジネスのブレークスルーになったと感じています。具体的にどういった機能がパン屋さんに役立っているのか教えてください。

矢野健太氏(以下、矢野) 例えば、配送伝票の準備や配送手配ですね。配送伝票は手書きだとかなり面倒ですが、パンフォーユーモット上で私たちが内容を入力し、最寄りの提携配送業者にデータを送ります。伝票は配送業者が印刷して商品の引き取りの際に持参してくれます。

石角 つまりパン屋さんは、パンを作って箱詰めしておくことに集中すればいいのですね。それはかなりの負担軽減になりますね。なぜここに着目されたのですか?

矢野 オフィス向けの冷凍パンの福利厚生サービス「パンフォーユーオフィス」を始めたとき、配送伝票の準備や配送業者への引き渡し作業はすべて私たちがやっていたのですが、手作業で本当に大変でした。その経験から、個人経営も多いパン屋さんに配送関連の作業をお任せしてしまうと負担が大きく、長くお付き合いしてもらうことは難しいのではないかと考えたのです。

もともと個人向けの冷凍パンのサブスクリプションサービス「パンスク」を始める際に、パートナーとなってくれるパン屋さんを探したのですが、「手間がかかるんじゃないか」とどこもなかなか首を縦に振ってくれませんでした。売り上げが増えるとお伝えしたつもりが、ただでさえ忙しいのに、さらに作業負担が増えると感じられたようです。その誤解を解くのが大変でした。

受注や配送の管理ができる独自開発システム「パンフォーユーモット」

石角 パン屋さんは特に朝忙しいというイメージがありますね。パンフォーユーモットを開発する際には、現場のヒアリングなどをされたのですか?

矢野 要件定義のために、開発メンバーがパン屋さんに張り付いて現場の課題を理解しました。ここに一番時間をかけましたね。

石角 私たちもAIを使ったシステムを開発する際には、現場の仕事の様子やそこで働く方々の気持ちを理解することを大事にしています。やはりどれだけいいシステムをつくっても、現場が使ってくれて、業務改善に役立たなければ意味がありません。当社でもリンガーハットの需要予測AIとスタッフのスケジュール管理システムをつくったのですが、店長さんが使いやすいUI(ユーザーインターフェース)にこだわりました。

よく「現場に寄り添ったDXが大事」といわれますが、頭では理解していても、実際にそれを実現するのは簡単ではないんですよね。

パンフォーユーモットは主に店長さんが使っているのですか?

矢野 そうですね、提携先は個人事業主の方が多く、1人で店主・職人・販売者を兼ねているケースも珍しくありません。大体皆さんスマートフォンやタブレットで使ってくれています。

すべてがシステム上で完結することが正解というわけではないと思っています。例えばレシピはスマートフォンで見るよりも、紙に印刷して壁に張っておいた方が見やすいですよね。開発、改善においては、その点を理解しておくことを大切にしています。

システムが消費者との対話ツールに

石角 ほかにパンフォーユーモットの開発で気をつけたことはありますか?

矢野 拡張性を残すように配慮しています。パンは個人やオフィスのほか、レストランなどさまざまな場所でニーズがあります。そこで今後の展開も見据えて、パンスクに特化したシステムにならないようにしています。

石角 ほかの展開も考えているということですか?

矢野 はい。今は個人向けのパンスクが伸びていて継続率も下がっていないのですが、この先ずっとこの状態が続くとは考えにくい。ユーザーが減少したときに、BtoB(企業向け)を拡大するなどの施策を考えていかなければいけません。

パンフォーユーとして新しいパン経済圏を拡大していくつもりですが、提携先のパン屋さんにも安定的な売り上げを確保してほしいのです。そのためパンスクだけでなく、法人向けのパンの開発を提案しているお店もあります。

石角 新しい事業提案までするとなると、もはや単なる提携先ではなく、パン屋さんの事業パートナーになろうとしているのですね。

矢野 やはりパン屋さんとの信頼関係は大事です。例えば百貨店のイベントに出店してくれるパン屋さんを探す際、お付き合いのないお店に声をかけてもまず受けてもらえないでしょう。日々コミュニケーションを取っているお店であれば、参加してもらえる可能性が高くなります。こういった関係性は当社の強みであり、参入障壁にもなると考えています。

石角 日々の営業関連のコミュニケーションもパンフォーユーモット上で行っているのですか?

矢野 いえ、LINEか電話が多いですね。資材の発注や製造可能数の変更など、よくある連絡はパンフォーユーモット上でもできるようにしていますが、それ以外のR&D(研究開発)を兼ねた話は主にLINEで行っています。

ただ、消費者からパン屋さんへの感想コメントはパンフォーユーモットに届くようになっています。

石角 一般的にDXというと、作業の効率化や省人化ばかりがフォーカスされがちですが、パンフォーユーモットは消費者とパン屋さんとのコミュニケーションツールにもなっているのですね。

矢野 その点は、パン屋さんにもすごく喜んでもらっています。パン屋さんはもちろんビジネスとしてお店を経営されていますが、それ以外に「自分の思いをのせたパンをたくさんの人に食べてほしい」という気持ちをお持ちの方が多いんです。テクノロジーを生かして売り上げアップに貢献するだけでなく、消費者コメントを通して、仕事への充実感を持ってもらえたらいいなと思っています。

群馬産パンの海外展開も夢じゃない?

石角 私が住んでいる米国の西海岸では、韓国系のフランチャイズのパン屋さんが進出してきています。日本のパン屋さんはあまり見かけないのですが、パンフォーユーでは海外展開は考えていますか?

矢野 もちろん海外展開も視野に入れています。日本は個人経営のパン屋さんが多く、個性豊かなパンが多いことから、パンが嗜好品として楽しまれるようになってきています。以前、上海やシンガポールを訪れた際、フランチャイズのパン屋が多くて個店のパン屋さんはあまり見かけなかったのですが、最近は個店のパン屋さんも人気になってきていると聞いています。今後はさまざまな国をウオッチして、進出を考えたいと思っています。

AIビジネスデザイナーの石角友愛氏。パンフォーユーの冷凍技術は海外でも可能性があると指摘する

石角 私も余ったパンを家で冷凍することがあるのですが、どうしても食感や風味が悪くなってしまうんです。パンフォーユーは独自の冷凍技術でそこを乗り越え、冷凍しても焼きたてのおいしさが保てるようにしたそうですね。国際特許も出願されていて、大きな強みとなっています。冷凍パンであれば、群馬で焼いたパンを米国で販売することも夢じゃありません。まさに事業ミッションである「新しいパン経済圏をつくり、地域経済に貢献する」の実現につながりますね。

職人さん向けDXを成功させる3つのアドバイス

石角 矢野さんはパン職人の経験も飲食業の経験もない中でパンフォーユーを立ち上げられました。同じように未経験の業界、特に職人がいる業界でITを活用したビジネスを展開しようと考えている方にアドバイスをお願いします。

矢野 僕からのアドバイスは3つです。1つ目は職人さんの日々のオペレーションをしっかりと理解することです。例えばパン職人の場合、どの小麦粉がおいしいのか、どの機材が焼きやすいのか、どういった作業工程があるのかといったことを、現場を確認したり勉強したりして学び、職人さんと話が通じるようにしておくことが大事です。

2つ目は、職人さんの気持ちを理解することです。職人さんは商人ではありません。損得だけでなく、お客さんに喜んでほしいという気持ちからパン作りに励んでいるので、そこは分かっておくことが必要です。

3つ目は、すぐに相手の利益になることを用意しておくことです。特にパン屋さんは個人事業主が多いため、できるだけ早く店の売り上げアップやコストカットにつながるような提案ができなければ、なかなか協力はしてもらえないでしょう。

石角 異業種から参入する場合には、好奇心を持って相手の仕事や業界を理解するという歩み寄りの姿勢が大事なのですね。

大手IT企業は新しいサービスやシステムをつくった際に「いいものをつくったのだから使ってくれるだろう」と考えがちです。でも町のパン屋さんは、日々目の前の業務で忙しくて、新しいサービスを使うどころではない。その壁を乗り越えて導入してもらうためには、現場に足を運んで相手の困りごとを理解していくこと、コミュニケーションの中から課題をくみ取って改善をしていくこと。そういった地道なトライアンドエラーがブレークスルーになるのだなと感じました。

矢野 特に日本人は地道に進めることに慣れていて、楽にやるより手をかけた方がよいという価値観も根強く残っています。そこを払拭できるようなシステムでなければ、「手作業の方が慣れているから、そっちでいい」となってしまいます。そこはシステム開発において、認識しておくべきポイントだと思います。

石角 現場を大事にするという開発姿勢は非常に共感できる部分が多かったです。本日はありがとうございました。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00509/00026/

(写真提供/パンフォーユー)

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

※石角友愛の著書一覧

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