複雑な意思決定や、戦略策定におけるAIの潜在的な能力の高さが明らかに
DeepMindが2016年に発表した「AlphaGo」が世界トップレベルのプロ棋士に勝ったことから、今では囲碁や将棋といった対人ボードゲームを極める上で、AIはもはや必要不可欠なツールとなっています。これまで、AIの応用は難しいと考えられていた複数人が参加する戦略的なボードゲーム「Diplomacy」において、Meta AIが開発したAI「CICERO」が好成績を残したと発表され話題になりました。
?この記事から得られる3つのナレッジ
・Meta AIが発表した「CICERO」
・AIが交渉や説得をするまでの思考プロセス
・人間と会話し、説得できるAIの発展可能性
? この記事に登場する技術キーワード
・強化学習
関連記事「AIが囲碁で人間に勝つ。その事実のどこが凄いのか」
関連記事「ソニーAIの研究は何がすごいのか?エチケットを理解した深層強化学習」
関連記事「強化学習の可能性を広げたDeepNashとは」
Meta AIは、独自のAIシステム「CICERO」を発表しました。これは複雑な交渉ゲームとして人気の高い「Diplomacy」上で、最適な意思決定を行うことのできるシステムです。これまでもAIがボードゲームをマスターし、人間に勝利した例はいくつも知られています。囲碁では「AlphaGo」がトッププロに勝利したり、日本の将棋界でも藤井聡太プロがAIを活用して研鑽を積み多くのタイトルを獲得していることから、今では多くのプロがトレーニングに使用しているという話はご存知のことかと思います。
今回のCICEROは、囲碁や将棋のような対人型ボードゲームでなく、より複雑な要素を用いるゲームであるDiplomacyで人間の上位プレイヤーと同等の成績を残したとして注目されています。プレイ状況や、プレイヤーとの対話の履歴、言語や文型の知識など、さまざまな情報を活用して稼働するこのシステムは、AIとしての応用性が明確になっている段階ではありませんが、プロ・アマが混在する中で上位10%以内に入るなどの好成績を上げています。
CICEROがプレイするDiplomacyは、7人のプレイヤーが地図上で駒を動かしてヨーロッパの支配権を競い合うというゲームです。参加する複数のプレイヤーが同時に行動するだけでなく、各ターンの前に短い交渉時間が設けられ、プレイヤーが2人で話し合い、同盟を組んだり、ライバルを追い詰めるために結託したりする戦略性の高さが特徴です。交渉後、どの駒を動かすか、他のプレイヤーとの約束を守るか、反故にするかを決定する必要があります。数十年前からAIを用いてプレイするプロジェクトはありましたが、自然言語を使いながら人間を相手に複雑な交渉するAIエージェントとしての機能を備えている必要があるため、ほぼ不可能なチャレンジと見なされてきました。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事及び東京都AI戦略会議 専門家委員メンバーに就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
![]() |
![]() |
※石角友愛の著書一覧
毎週水曜日、アメリカの最新AI情報が満載の
ニュースレターを無料でお届け!
その他講演情報やAI導入事例紹介、
ニュースレター登録者対象の
無料オンラインセミナーのご案内などを送ります。