ポストコロナ時代を迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。AI(人工知能)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。クラフトビールのヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)社長の井手直行氏との対談後編は、同社が進めている顧客情報一元化と驚きのカスタマーサポート、同社のカルチャーについて議論した。(対談は2023年2月7日)
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倒産寸前からネット通販で離陸 ヤッホーブルーイング成功の原点
石角友愛氏(以下、石角) メルマガやSNS(交流サイト)などのオンラインだけでなく、リアルの場でのファンイベント開催といったオフラインのコミュニケーションも活用してマルチチャネルでマーケティングをされています。どういった戦略で発信しているのですか。
井手直行氏(以下、井手) SNSはその特性に応じて使い分けをしています。例えばTwitterでは、キャンペーンなど話題性があるものを投稿して拡散を狙います。Instagramにはビジュアル的に映えるものを選びます。内容によっては、発信するSNSを限定することもありますね。
石角 特定のSNSにあえて出さないこともあるのですね。
井手 その通りです。自分が興味のない内容を投稿され続けると、消費者の興味関心は低下してしまいます。そうなるとフォローを外されてしまうかもしれません。過去の投稿データを分析して、ある程度の傾向が分かっているので「この内容はこのSNSには合わない」という場合は、外しています。
石角 なるほど、必ずしもすべてのSNSに出せばいいというわけではなく、出さないほうがプラスに働くこともあるのですね。各SNSやネット通販で収集した顧客データは、具体的にどのようにマーケティングに活用しているのですか。
井手 当社では公式通販サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどさまざまなサイトで製品を販売しています。またファンの方々向けのイベントも開催しています。以前はそれぞれの媒体で情報が閉じてしまっており、顧客情報をうまくマーケティングに活用できていませんでした。
そこでシステムを構築し、それらの情報をすべてひもづけられるようにしています。ちょうど今、段階的に導入を進めているところです。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
※石角友愛の著書一覧毎週水曜日、アメリカの最新AI情報が満載の
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