大手文具・家具メーカー、コクヨのDXデザイン室長の三宅健介氏と石角友愛氏の対談の後編。前編では同社が進めてきた「デジタルエクスペリエンス」の概要、社内で協力を得るための取り組みなどについて聞いた。後編では品川のオフィス「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」の話から、コクヨが進める新しいビジネスについて議論した。(対談は2022年9月13日)
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スマホで勉強する学生たち 文具の老舗コクヨが挑むデジタル変革
石角友愛氏(以下、石角) 2021年2月に、品川のオフィスをリニューアルして「THE CAMPUS」としてオープンされています。「働き方の実験場」ということですが、詳しく聞かせてください。
三宅健介氏(以下、三宅) THE CAMPUSでは、自分たちが理想と考えるオフィスを実際につくってみて、そこで働く姿をお客さまに見ていただいています。そしてフィードバックをいただき、改善をしていきます。新型コロナウイルス禍で進んだデジタルを活用した働き方もそこで試しています。当社が大事にしている「実験カルチャー」の現場ともいえると思います。
石角 デジタルも積極的に活用されているそうですね。フロアに埋め込んだビーコン(電波受発信器)と社員が持ち歩くスマートフォンから、社員がいつどこにいるかを1分単位で測定、AI(人工知能)カメラも併用して、オフィスの利用状況についてデータを収集して新しいサービスモデルの開発に生かしていると聞いています。
三宅 ええ。オフィスの中で人の動きをデータ化すれば、「あそこは人がよく集まっている」「あの場所は想定とは違った使われ方をしている」といったことが把握できます。これまで企業のオフィスというと、“つくって終わり”となるケースが多かった。ですが実際の使用状況が分かれば、それに合わせて改修を加えていくことも可能となります。
石角 オフィスの改修というと、パーティションを動かすといったことでしょうか?
三宅 そうですね。あと最近は「集中する場所」「コミュニケーションする場所」「リラックスする場所」といったゾーニングをすることがオフィスデザインのトレンドになっています。ただそれぞれのゾーンのベストバランスは、その企業での働き方やビジネスの進め方によって違う。実際にどう使われているかを把握できれば、その比率を変えるべきか分かるはずです。データによってオフィスの問題点を見える化することで、必要に応じてパーティションを移動させたり家具の配置を変えたりして改善が進められます。
石角 まさにオフィス自体が実験の場なのですね。THE CAMPUSは一般の方も入れるのですか?
三宅 一部エリアを一般の方に開放しています。1階に子どもがコクヨの文具や絵本で遊べるスペースや、オフィス家具の体験コーナーがあり、コクヨ商品の販売もしていて、社員がお客さまの様子を直接見られるいい機会になっています。AR(拡張現実)を使った商品のPRなど、アイデアを試す場所としても活用しているんですよ。
石角 THE CAMPUSは社員の行動データを集めるとともに、お客さまのデータを集める場所にもなっているのですね。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
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