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株式会社不二家 事例紹介 – 出荷予測、需要予測に基づく生産計画の最適化

2022/12/01 事例紹介 
by kohei 

赤字事業への守りのAI投資

株式会社不二家/出荷予測モデルの開発

不二家には「カントリーマアム」などの菓子を量販店に販売する製菓事業と、店頭でケーキなど生菓子を扱う洋菓子事業がありますが、堅調な製菓事業に対し、洋菓子事業では10年以上赤字が続いていました。

そこで不二家は、赤字の洋菓子事業にAIを導入し、立て直しを図ることにしたのです。以下に紹介する内容は現在進行中のプロジェクトに関するものです。

まず、2000種類にものぼる商品の店舗ごとの発注量や販売動向、顧客の属性などのデータを整理し、それに加えて生菓子の材料や配合、天気まで多岐に渡るデータをAIに解析させることで、「特定の商品がどのような条件でどの店舗で売れているのか」という詳細な需要傾向を予測することを試みます。

そしてこの需要傾向から正確な出荷予測を立てることで、工場のライン編成や人員配置を最適化するという計画です。

これにより、これまで人の感覚で行われる発注により生じていた無駄を取り除き、生産コストを削減することを目指しています。また、同時に食品廃棄ロスの抑制も実現できるため、環境に優しいシステムともいえるでしょう。

開発の3つのポイント

  1. 赤字事業や危機的事業にAI投資
    赤字事業はリスクが少なく、少しの改善でも大きな効果を発揮する。黒字部門は社内の注目度も高いためリスクを伴う。
  2. デジタルだけに依存しない
    過去のデータを拠り所にするだけでなく、これまで通り人間の経験も大切にして、ハイブリッドな需要予測を行う。
  3. AI活用はあくまで「基準作り」
    社員全員がAIが導き出した「客観性のある数字」を基準に平等な立ち位置で議論を始められるようになったことが最大のメリット

課題

■ 不二家には製菓事業と洋菓子事業とあるうち、全体の約2割を占める洋菓子事業の売上高は長年赤字

■製造個数が多すぎて売れ残ると廃棄ロスになってしまい、逆に、製造個数が少ないと売り切れて機会損失を招くという状況をどうにかしたい

■従来はベテラン社員が経験に基づいて季節や曜日といった要素から予測を行ってきたが、お客さんの多い時間帯には一部売り切れてしまう商品もあり、お客様をがっかりさせてしまうことがあった

解決アプローチ

目的

■2000種類にものぼる商品の店舗ごとの発注量や販売動向、顧客の属性などのデータを整理し、それに加えて生菓子の材料や配合、天気まで多岐に渡るデータをAIに解析させることで、「特定の商品がどのような条件でどの店舗で売れているのか」という詳細な需要傾向を予測

■この需要傾向から正確な出荷予測を立てることで、将来的には、工場のライン編成や人員配置を最適化
 
■人の感覚で行われる発注により生じていた無駄を取り除き、生産コスト削減。また、同時に食品廃棄ロスの抑制も実現できる、環境に優しいシステムの開発

導入の流れ

■課題の抽出:各部署の課題を徹底的に抽出する
まずは各部署にどのような課題があるのかを徹底的に抽出する。この時、AIやDXに関連するかどうかにかかわらず、社内の各事業部の課題をすべて出してもらうことがポイント。それにより、さまざまな事業部の人が自分の属していない部署の課題を聞けるようになり、部署を超えた連携が生まれることもあるからだ。また、縦割りをなくし、部署ごとに管理していたデータをどの部署でも使えるようにデータの統合ができるかどうかも検証した。
また、当社がこの工程に入ることで課題抽出をより客観的に行うことができ、いい意味で変革のきっかけが作れたため、社内に事業部の横断的チームができ、ボトムアップでDXを進める基盤となった。

■事業部の方々へのヒアリングと経営陣との議論、プレAI診断を通じた課題の絞り込み
事業部の方々へのヒアリングや経営陣との議論により抽出された課題をもとに、「プレAI診断」を行い、どの課題にAI導入をするのが最も費用対効果が高いのかを分析した。例えば、FOME分析というフレームワークを用いることで(1)実現可能性、(2)応用性、(3)検証性、(4)倫理性という4つの観点からそれぞれの課題をスコアリングし、客観的に判断を下すことが可能となる。こうした複数の手法をもとにプロジェクト化する課題を絞り込み、導入を決めた。

今後の展望

需要予測システムを、洋生菓子ビジネスを支えるインフラに育てる

洋菓子部門では、新商品に関する過去の売り上げデータがないため、新商品出荷にあたってのベンチマークを持てずにいたのも課題でした。この点に関して、当社ではAIに商品写真を認識させ、さらに商品説明のテキストの内容なども分析させることで、過去に販売した商品との類似性を基にした需要予測が行えると想定しています。つまり、将来的には生産のかなり上流の工程からAIの需要予測を取り入れることが可能となるのです。このことで、販売計画・生産計画の策定、適切な原材料調達、工場のオペレーション効率化など、あらゆる工程の合理化が進むと考えられます。このように、需要予測システムが、洋生菓子ビジネスを支えるインフラになることを目指して目下プロジェクトに取り組んでいます。

パロアルトインサイトメンバーからのコメント

パロアルトインサイト開発担当・辻智範
「AIが、予測の事務作業をサポートする形で、(企業は)コアのビジネスになる意思決定の部分に、より多く時間を割けるようサポートしていきたい」

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
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